特定技能ビザとは?1号・2号の違い・対象分野・受入れの流れを行政書士が解説
深刻な人手不足に対応するため、即戦力となる外国人を受け入れられる在留資格が「特定技能」です。外国人の採用をお考えの企業様に向けて、特定技能制度の基本、1号・2号の違い、対象分野(2026年最新)、受入れの流れ、登録支援機関の役割、費用の目安までを、行政書士の視点でわかりやすく解説します。制度は近年たびたび改正されているため、最新情報をもとに準備を進めることが重要です。外国人採用をご検討の企業様は、ぜひ当事務所までご相談ください。
目次
特定技能ビザとは?
特定技能は、生産性向上や国内人材の確保に取り組んでもなお人手不足が深刻な産業分野において、一定の専門性・技能を持ち、即戦力となる外国人を受け入れるための在留資格です。2018年12月の入管法改正により創設され、2019年4月から運用が始まりました。
それまでの技能実習制度が「国際貢献(技能移転)」を目的としていたのに対し、特定技能は正面から「人手不足の解消(就労)」を目的とした制度である点が大きな特徴です。特定技能には「特定技能1号」と「特定技能2号」の2種類があります。

特定技能1号
特定産業分野に属する、相当程度の知識または経験を必要とする技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格です。主な特徴は次のとおりです。在留期間は1年・6か月・4か月ごとの更新で、通算の上限は最長5年です。原則として家族(配偶者・子)の帯同は認められません。また、永住申請の際の在留期間要件には、特定技能1号で就労した期間は含まれません。なお、一定の日本語能力(日本語能力試験N4以上、または国際交流基金日本語基礎テスト合格相当)が求められます。
特定技能2号
特定産業分野に属する、熟練した技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格です。高い技能水準が求められるため、事実上、特定技能1号からの移行となります。主な特徴は次のとおりです。在留期間は3年・1年・6か月ごとの更新で、更新回数に上限はなく、要件を満たせば事実上無期限に就労できます。家族(配偶者・子)の帯同が認められます。在留期間に上限がないため、要件を満たせば将来的に永住許可の申請も可能になります。
特定技能1号と2号の違い(比較表)
特定技能1号と2号の主な違いを整理すると、次のとおりです。
| 比較項目 | 特定技能1号 | 特定技能2号 |
|---|---|---|
| 技能水準 | 相当程度の知識・経験 | 熟練した技能 |
| 在留期間 | 通算5年が上限 | 上限なし(更新可能) |
| 家族帯同 | 原則不可 | 可能(配偶者・子) |
| 日本語試験 | 必要 | 技能試験のみ(日本語試験は原則なし) |
| 支援計画 | 必要(義務的支援10項目) | 不要 |
| 永住申請 | 在留期間要件に算入されず取得は困難 | 要件を満たせば申請可能 |
なお、2024年9月の制度改正により、特定技能1号から2号への移行試験で合格基準点の8割以上を得点した場合、再受験の準備のために最長1年間の在留延長が認められるようになりました。
特定技能の対象分野(2026年最新)
特定技能の対象分野は制度開始以降、段階的に拡大してきました。2024年3月の閣議決定で4分野が追加されて16分野となり、さらに2026年1月の閣議決定で3分野が追加され、制度上は19分野となっています。
特定技能1号の対象分野は、介護、ビルクリーニング、工業製品製造業(旧・素形材/産業機械/電気電子情報関連製造業を2022年に統合)、建設、造船・舶用工業、自動車整備、航空、宿泊、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業の12分野に加え、2024年に追加された自動車運送業、鉄道、林業、木材産業の4分野、そして2026年1月に追加されたリネンサプライ、物流倉庫、資源循環の3分野です。
ただし、2026年1月に追加された新3分野(リネンサプライ・物流倉庫・資源循環)は、技能試験等の整備が必要なため、実際の受入れ開始は2027年頃の見込みです。
特定技能2号については、2023年6月の閣議決定で大幅に拡大され、現在は介護分野を除く11分野が対象となっています。介護分野は別に在留資格「介護」が設けられているため、2号の対象外です。また、2024年以降に追加された分野は、現時点では2号の対象とはなっていません。
なお、2024〜2028年度の5年間で、特定技能外国人の受入れ見込み数は最大約82万人とされており、今後も活用が広がると見込まれています。
※対象分野や受入れ見込み数は閣議決定により変更されることがあります。最新情報は出入国在留管理庁のホームページでご確認ください。
特定技能の在留資格を取得するには?
外国人が特定技能(1号)の在留資格を取得するには、主に次の2つのルートがあります。
1つ目は「技能実習からの移行」です。技能実習2号を良好に修了している場合、同一分野への特定技能1号への移行時には、技能試験と日本語試験の両方が免除されます。技能実習で従事していた職種・作業と、特定技能で従事する業務区分が一致していることが重要です。なお、同じ職場で技能実習から特定技能へ変更申請をしている途中で在留期間が切れると、就労できなくなってしまうため注意が必要です。手続きには余裕(少なくとも3か月程度)をもって臨むことをおすすめします。
2つ目は「試験合格」ルートです。国内外で実施されている分野別の技能試験と、日本語試験(日本語能力試験N4以上、または国際交流基金日本語基礎テストなど)の両方に合格する必要があります。
外国人を採用(雇用)するには?
受入れ機関(企業)は、直接採用活動を行うか、国内外の職業紹介機関を活用して採用します。ハローワークを通じた採用も可能です。なお、採用する外国人の国籍によっては、その国の法律により所定の手続きを経ることが求められる場合があり、駐日大使館等への問い合わせが必要になるケースもあります。
特定技能1号で受け入れる場合、受入れ機関には職業上・日常生活上の支援を行う義務があります。この支援は自社で行うか、登録支援機関へ委託します(特定技能2号では支援は不要です)。
義務的支援の10項目
特定技能1号外国人に対しては、次の10項目の義務的支援を行う必要があります。具体的には、雇用契約締結後の事前ガイダンス、出入国時の送迎、住居の確保や生活に必要な契約の支援、生活オリエンテーション、公的手続き等への同行、日本語学習の機会の提供、相談・苦情への対応、日本人との交流促進、人員整理等の場合の転職支援、そして定期的な面談(3か月に1回以上)および行政機関への通報です。
自社でこれらの支援体制を整えることが難しい場合は、出入国在留管理庁に登録された「登録支援機関」へ支援業務を委託できます。支援をすべて登録支援機関に委託すれば、受入れ機関は支援体制の基準を満たしているものとみなされます。
受入れの流れ
国内に在留している外国人(技能実習修了者や留学生など)を採用する場合は「在留資格変更許可申請」を、海外から来日する外国人を採用する場合は「在留資格認定証明書交付申請」を、それぞれ出入国在留管理局に行います。審査期間はおおむね1〜3か月程度です。許可されたら、入国(または資格変更)後に就労を開始します。
受入れ機関が注意すべきポイント
特定技能外国人を受け入れる企業が特に注意すべきポイントは次のとおりです。
まず、給与は日本人と同等以上であることが必須です。家賃・光熱費・食事代などの実費を超える不当な天引きは認められません。次に、「建設」「介護」分野では、受け入れる特定技能外国人の人数を、その事業所の常勤の日本人職員数以下とする必要があります。
また、「建設」分野では、入管への申請とは別に、国土交通省への「特定技能外国人受入れ計画」の認定申請が必須です。雇用形態については、原則として派遣は認められていませんが、「農業」「漁業」分野では派遣形態が認められています。さらに、外国人の国籍によっては二国間協議に基づく手続きが必要な場合があるため、注意が必要です。
このほかにも細かいポイントが多数あるため、専門家に相談のうえ申請を進めることをおすすめします。
参考資料:特定技能外国人受入れに関する運用要領(出入国在留管理庁)、特定技能ガイドブック(出入国在留管理庁)など。
特定技能と技能実習の違い、そして「育成就労制度」への移行
特定技能と技能実習は混同されやすいですが、目的も仕組みも異なります。特定技能は人手不足の解消(就労)を目的とし、同一分野内での転職が可能です。一方、技能実習は国際貢献(技能移転)を目的とし、原則として転職はできません。
重要な点として、技能実習制度は2027年4月に新たな「育成就労制度」へ移行することが決定されています。育成就労制度では、目的が「国際貢献」から「人材の育成・確保」へと変わり、基本3年間の就労を通じて特定技能1号の水準まで育成することが想定されています。対象分野は特定技能の特定産業分野と一致させる方針で、技能実習で問題視されていた転籍(転職)制限も緩和されます。
これにより、「育成就労(3年)→ 特定技能1号(5年)→ 特定技能2号(上限なし)」という一貫したキャリアパスが制度的に整備されることになります。長期的な外国人材の活用を検討している企業にとって、大きな転換点となります。
特定技能の受入れにかかる費用の目安
特定技能外国人の受入れには、初期費用と毎月のランニングコストがかかります。
初期費用としては、人材紹介を利用する場合の紹介料、海外採用の場合の送出機関への手数料や渡航費、在留資格申請にかかる費用(行政書士へ依頼する場合の報酬を含む)などがあります。ランニングコストとしては、登録支援機関へ支援を委託する場合の委託費が毎月発生します(金額は機関により異なります)。また、建設分野ではJAC(建設技能人材機構)への受入れ負担金が別途必要です。
具体的な金額は採用方法や分野、依頼先によって大きく異なります。詳しくはお問い合わせください。
よくある質問(FAQ)
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特定技能1号と2号の違いは何ですか?
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1号は「相当程度の技能」が求められ、在留期間は通算5年が上限、家族帯同は原則不可です。2号は「熟練した技能」が求められ、在留期間に上限がなく、家族帯同も可能で、要件を満たせば永住申請も視野に入ります。
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特定技能の対象分野はいくつありますか?
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2026年時点で、特定技能1号は制度上19分野が対象です。ただし、2026年1月に追加されたリネンサプライ・物流倉庫・資源循環の3分野は、受入れ開始が2027年頃の見込みです。特定技能2号は介護を除く11分野が対象です。
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登録支援機関への委託は必須ですか?
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法律上は必須ではありません。自社で支援体制を整え、支援計画を作成・実施できれば委託は不要です。ただし、義務的支援は10項目にわたり実務負担が大きいため、多くの企業が登録支援機関に委託しています。
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技能実習生をそのまま特定技能で雇用できますか?
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技能実習2号を良好に修了していれば、同一分野への特定技能1号への移行時に技能試験・日本語試験が免除されます。ただし変更申請には時間がかかるため、在留期限に余裕をもって手続きを進める必要があります。
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派遣で受け入れることはできますか?
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原則として派遣は認められず、直接雇用が基本です。例外として「農業」「漁業」分野でのみ派遣形態が認められています。
外国人の採用をご検討される企業さまは是非ご相談ください!
特定技能制度は分野の追加や育成就労制度への移行など、近年たびたび改正されており、最新情報を踏まえた準備が欠かせません。要件の確認から在留資格の申請、登録支援機関としての義務的支援まで、専門的な対応が必要です。当事務所では、行政書士が特定技能外国人の受入れをトータルでサポートいたします。外国人の採用をご検討の企業さまは、ぜひお気軽にご相談ください。
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