就労継続支援B型とは(制度概要・工賃・利用対象者)

就労継続支援B型事業所は、障害者総合支援法に基づいて運営される福祉サービスのひとつです。一般企業への就職が困難な障がいのある方に対し、就労の機会を提供する場として、雇用契約を結ばずに、比較的自由なペースで働くことができるのが特徴です。 給与ではなく工賃を貰いながら働きます。

通常の事業所に雇用されることが困難であり、雇用契約に基づく就労が困難である者に対して、就労の機会の提供及び生産活動の機会の提供その他の就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練その他の必要な支援を行う

引用:厚生労働省 就労支援の概要

工賃とは?

就労継続支援B型事業所では、生産活動によって得た収入から、利用者に工賃が支払われます。工賃の金額は、事業所の業績や利用者の活動時間によって異なりますが、最低工賃は定められています。(ひと月当たりの工賃の平均額3000円を下回ってはいけません)工賃は、利用者の生活費や趣味などに充てることができ、経済的な自立を支援する上で重要な役割を果たします。

利用対象者

就労継続支援B型の利用対象者は、以下のいずれかに該当する方です。

  • 身体障害、知的障害、精神障害、発達障害、難病等の障がいがある方
  • 年齢や体力などの理由により、一般企業への就職が難しい方
  • 就労移行支援事業所を利用したが、一般企業への就職に繋がらなかった方
  • 過去に一般企業で働いていたが、退職後に再就職が難しい方
  • 特別支援学校卒業後、一般企業への就職を希望するが、困難な方

上記に該当する方でも、事業所ごとに受け入れ基準が異なる場合がありますので、事前に確認することが大切です。

開業準備の4ステップ(事業計画→物件→人員→設備)

就労継続支援B型事業所を開業するには、様々な準備が必要となります。

指定権者(行政)によっては、事前説明会に参加後、事前相談をしたうえで、進めていく必要がありますので、指定権者のホームページなどでご確認ください。

以下に、大まかな開業までの流れを解説します。

ステップ1:事業計画の策定

  • どのような事業所にするか、コンセプトやターゲット層を明確にする
  • 提供するサービス内容や活動内容、工賃体系を具体的に計画する
  • 事業所の運営に必要な資金計画を立てる
  • 収支計画を立て、事業の採算性を確認する
  • 地域のニーズを調査し、競合となり得る事業所を把握する

※事業計画は指定されたフォーマットなどがあるため、事前に行政へ確認しましょう!

ステップ2:物件の選定と確保

  • 事業所の立地条件(アクセス、広さ、周辺環境など)を考慮する
  • 建物の構造や設備が、福祉サービス事業に適しているかを確認する
  • 消防法や建築基準法などの法令を遵守しているか確認する
  • 賃貸契約をする場合は、契約内容を十分に確認する

※物件が見つかっても、すぐには契約せず、上記の要件に適合しているか等、事前に行政へ確認することをお勧めします。

ステップ3:人員の確保

  • 管理者、サービス管理責任者、職業指導員、生活支援員などの人員を確保する
  • 各職種の資格要件や経験を確認する
  • 採用活動を行い、適切な人材を確保する
  • 職員研修計画を立て、人材育成を行う

※地域によってはサービス管理責任者の採用に苦労することがあるようですので、余裕をもった採用計画が必要です。

ステップ4:設備・備品の準備

  • 利用者が安全に活動できるための設備や備品を準備する
  • 作業に必要な道具や材料を揃える
  • 事務作業に必要なパソコンやプリンターなどを準備する
  • 緊急時の対応に必要な救急セットや防災用品を用意する

開業に必要な4つの要件(法人/人員/設備/運営)

下記は最低限、必要となる要件となります。

①法人基準

法人であることが必要(株式会社、合同会社、一般社団法人、社会福祉法人など)

定款の目的には『障害者総合支援法に基づく障害福祉サービス事業』などの記載が必要になります。※設立する法人によって異なりますので、必ず行政の担当窓口に確認してください。

人員配置基準(6:1/7.5:1/10:1の違い)

  • 管理者(1名以上)※管理者は専任が原則だが兼務可
  • サービス管理責任者(常勤かつ利用者60名以下で1名以上 61名~100名で2名以上の配置)
  • 職業指導員および生活支援員(各1名以上/いずれか1名以上は常勤)※常勤換算で利用者10名につき職員1名(10:1)or7.5名につき職員1名(7.5:1)or6名につき職員1名(6:1)

設備基準(部屋の広さ・消防・建築)

  • 訓練・作業室:利用者の訓練に支障がない広さを確保し、訓練、作業に必要な機械などを備えること。※自治体にもよるが利用者1名につき3㎡を確保
  • 相談室:相談内容が外部に漏れないように配慮。原則部屋を用意。パーテンション等で区切る場合は高さ、安全性、強度に配慮。
  • 多目的の設置:活動のために支障がない広さを確保し、人数に応じた備品等の備えがあること。※相談室との兼用可
  • 他、トイレ、洗面設備の設置

※自治体によっては『事務室』の配置も必要な場合はがあります。

運営基準

  • 個別支援計画作成、定員の取り扱い、工賃規定、利用者負担の範囲、虐待防止に対する責務等

上記以外にも多数ありますが、関係法令を遵守し、常に適正な運営を行い、

またサービスの質の向上に努めることとされています。

事業内容によっては営業許可が必要となります。(例:食品営業許可、古物商許可など)

加算・減算一覧

就労継続支援B型の加算・減算一覧【2026年6月改定対応】収益アップの要点 

※利用定員数20名以下を基準として記載しております。以下の要件を満たすことで基本報酬に加算されます。逆に運営基準に満たさない場合や未実施であることにより減算される場合があります。

    加算・減算名                内容
基本報酬原則、前年度の「平均工賃月額」に応じて評価する報酬体系 (人員配置(Ⅰ)6:1(Ⅱ)7.5:1(Ⅲ)10:1) 
定員超過利用減算1日あたり150%または3ヶ月平均で125%の定員を超えた場合に30%減算
サービス提供職員欠如減算配置すべき人員基準を満たしていない場合30%、50%減算
サービス管理責任者欠如減算サービス管理責任者が配置できていない場合30%、50%減算
個別支援計画未作成減算利用者の個別支援計画が適正に作成されてない30%、50%減算
身体拘束廃止未実施減算身体拘束等の適正化を図る措置(記録、委員会の開催、指針の整備等)がされていない場合 所定単位数の1%を減算
虐待防止措置未実施減算
①虐待防止委員会を定期的に開催と従業員への周知②虐待の防止のための研修を定期的に実施。また、実施するための担当者の配置 基準に満たしてない場合は所定単位数の1%を減算
業務継続計画未策定減算(BCP未策定)非常時の体制で早期の業務再開を図るための業務継続計画を未策定や必要な措置を講じてない場合は、所定単位数の1%を減算 
情報公表未報告減算障害福祉サービス等情報公表システム上、未報告となっている事業所に対し、所定単位数の最大10%を減算。
視覚・聴覚言語障害者支援体制加算 
Ⅰ~Ⅱ
視覚・聴覚・言語機能に重度の障害がある利用者が一定数以上で、意思疎通に関し専門性を有する者が配置されている場合 
(Ⅰ)51単位/日 (Ⅱ)41単位/日 
就労移行支援体制加算Ⅰ~Ⅳ就労継続支援B型を受けた後に就労し、6ヶ月以上就労継続している者がいる場合、 就労移行支援体制加算Ⅰ(B型サービス費Ⅰ・Ⅱを算定し、かつ令和6年度以降に報酬区分が上がった事業所)の単位数は平均工賃月額に応じて58〜93単位/日です。
就労移行連携加算利用者が就労移行支援の支給決定を受けるに際し、就労移行支援事業者との連絡、調整、相談援助等、連携を行った場合1000単位/回(利用終了月に1回を限度)で加算
初期加算利用開始から30日以内の期間について 30単位/日
訪問支援特別加算継続利用者が連続5日間利用しなかったときに、職員が居宅を訪問して相談援助を行った場合
・所要時間1時間未満187単位/回 ・所要時間1時間以上280単位/回を加算(上限月2回まで) 
利用者負担上限管理加算利用者負担額合計額の管理を行った場合 150単位/回(上限1回/月) 
食事提供体制加算収入が一定額以下の利用者に対して食事の提供を行った場合 30単位/日
福祉専門職員配置等加算Ⅰ~Ⅲ資格者を配置した場合や一定の割合以上に常勤職員を配置していた場合 6~15単位/日
ピアサポート実施加算「利用者の就労や性格活動等への参加等」をもって一律に評価する報酬体系において、各利用者に対し就労や生活活動等への参加等に係るピアサポートを実施した場合 100単位/月
欠席時対応加算利用者が急病等で利用中止した場合94単位/日(上限月4回まで) 
医療連携体制加算Ⅰ~Ⅶ医療機関等との連携により、看護職員が看護、喀痰吸引、指導等行った場合 32~800単位/日
地域協働加算地域住民等と協働して生産活動に係る支援を行い、その内容を公表した場合 30単位/日
重度者支援体制加算Ⅰ~Ⅱ前年度における障害基礎年金1級を受給する利用者が、一定の割合以上の場合 22~56単位/日
目標工賃達成指導員配置加算・目標工賃達成指導員を常勤換算方法で1人以上配置。
・職業指導員及び生活支援員の総数が常勤換算方法で6:1以上、かつ目標工賃達成指導員、職業指導員及び生活支援員の総数が常勤換算方法で5:1以上で目標工賃の達成に向けた取り組みを行う場合  定員20名以下で45単位/日
目標工賃達成加算指定権者にて作成される工賃向上計画に基づき、自らも工賃向上計画を作成し、当該計画に掲げた工賃目標を達成した場合 10単位/日
送迎加算Ⅰ~Ⅱ居宅等と事業所・施設との間の送迎を行った場合 10単位/日or21単位/日
障害福祉サービスの体験利用支援加算Ⅰ~Ⅱ就労継続支援B型の利用者が障害福祉サービス事業の体験利用を行った場合 250~500単位/日
(地域生活支援拠点の場合+50単位/日)
在宅時生活支援サービス加算在宅でのサービス利用による支援効果が認められると市町村が判断した利用者に対して、一定の要件を満たしたうえで支援を提供した場合300単位/日
社会生活支援特別加算医療観察法にもとづく通院医療の利用者、刑務所出所者等に対して相談援助など個別支援等を行った場合 480単位/日
緊急時受入加算地域生活支援拠点等に位置付けられ、かつ、関係機関との連携調整に従事する者を配置する通所系サービス事業所において、障害の特性に起因して生じた緊急事態等の際に、夜間に支援を行った場合 100単位/日
集中的支援加算Ⅰ~Ⅱ・強度行動障害を有する児者の状態が悪化した場合に、広域的支援人材が訪問し、集中的な支援を行った場合 
 1000単位/日(3ヶ月以内の期間に4回/月限度)
・集中的な支援が必要な利用者を他の指定障害祉サービス事業所又は指定障害者支援施設等から受け入れ、当該利用者に対して集中的な支援を行っ た場合、500単位/日 (3ヶ月以内の期間)
高次脳機能障害者支援体制加算・高次脳機能障害を有する利用者が全体の利用者数の30%以上
・高次脳機能障害支援者養成研修を修了した従業者を事業所に1名以上配置
・上記を公表している場合に加算     41単位/日
福祉・介護処遇改善加算Ⅰ~Ⅳ賃金等の処遇改善を目的とした加算で多くの事業者が取得しています。

【2026年6月改定】新規開業者が必ず知っておくべき変更点 

就労継続支援B型では、通常3年ごとの報酬改定とは別に、2026年(令和8年)6月から臨時報酬改定が施行されました。これから開業を検討される方に直接影響する内容が含まれているため、収支計画を立てる前に必ずご確認ください。

基本報酬区分の見直し(既存事業所向け)

令和6年度改定で平均工賃月額の算定方式が変わり全国平均が約6,000円上昇したため、各区分の基準額が3,000円引き上げられました。同じ工賃実績でも区分が下がるリスクがあります。激変緩和として中間区分(A〜F)が新設され、減収幅を約3%に抑える仕組みになっています。

参考として、人員配置6:1・定員20名の場合の主な区分:

改定後の区分単位数平均工賃月額
区分一837単位48,000円以上
区分A(中間)812単位45,000〜48,000円未満
区分二805単位38,000〜45,000円未満
区分B(中間)781単位35,000〜38,000円未満
区分三758単位33,000〜35,000円未満
区分C・四738単位28,000〜33,000円未満
区分七673単位10,000〜15,000円未満(変更なし)

※区分七・八の間(10,000円)と、令和6年度に区分が上がっていない事業所は対象外。

就労移行支援体制加算の要件が厳格化されました(2026年4月施行)

利用者の一般就労を支援した事業所が算定できる就労移行支援体制加算について、2026年4月から次の2点が見直されました。年間で算定できる就労定着者数に「その事業所の定員数まで」という上限が新設され、さらに同一の利用者について、自他の事業所を問わず過去3年間に算定実績がある場合は原則として算定できないことになりました(ハラスメント等やむを得ない事情で退職し市町村長が認める場合などは例外)。

開業後の安定的な加算取得のためには、目先の就職数ではなく、一人ひとりの利用者に寄り添った長期定着支援を行う体制づくりが重要になります。

新規事業所への報酬単価引き下げ

2026年6月1日以降に新たに指定を受ける就労継続支援B型事業所は、当面のあいだ基本報酬が引き下げられます。具体的には、所定単位数の1000分の984に相当する単位数(約1.6%減)で算定されます。これは令和9年度の報酬改定までの臨時的な措置で、十分な地域ニーズ調査を行わない収益目的の新規参入を抑制し、制度の持続可能性を確保することが目的とされています。

開業初期は稼働率が上がりきらず資金繰りが厳しい時期でもあるため、収支シミュレーションは引き下げ後の単価を前提に作成することをおすすめします。

ご相談から開業までの流れ

ご面談
ご要望やご相談、事業契約などをヒアリングさせていただき、
お見積りを提示いたします。ご納得いただけた場合ご契約となります。
要件適合の確認※東京都の場合
指定権者(行政)の担当窓口との事前相談や説明会への参加、
消防にて建物や要件等を確認いたします。
※指定相談を受ける前に各区市町村で策定している「障害福祉計画」との兼ね合いや、実施地区における利用者のニーズ等を確認が必要。
③申請書類の作成等
必要書類の収集や、申請書類の作成を行い申請の準備を行います。
⑤審査・現地確認
書類審査、都による現地確認
⑥指定、事業スタート
指定日は毎月1日になります。

※都道府県によって上記のスケジュールと異なる場合があります。

余裕をもったスケジュールで開業準備をすることをお勧めいたします。

よくある質問(就労継続支援B型の開業について)

就労継続支援B型を開業するのに、まず何から始めればよいですか?

最初に行うのは法人の設立(または定款変更)と、開業予定地を管轄する指定権者(都道府県・政令市・中核市)への事前相談です。多くの自治体では事前説明会への参加や事前協議が必須となっており、地域の障害福祉計画やニーズによっては新規指定が制限される場合もあります。物件契約や人材採用を進める前に、まず管轄窓口へ確認することをおすすめします。

開業にはどのくらいの資金が必要ですか?

 事業所の規模や物件の状況によって大きく異なりますが、一般的には法人設立費用、物件取得費、内装工事費、設備・備品費などの初期費用に加え、指定後すぐに報酬が入金されないため、数か月分の運転資金(人件費・家賃等)を確保しておく必要があります。報酬は国保連を通じて支払われるため入金まで約2か月のタイムラグがあり、開業から軌道に乗るまでの運転資金は特に重要です。具体的な金額は個別の計画によるため、収支シミュレーションを作成したうえでご相談ください。

サービス管理責任者がなかなか見つかりません。開業できますか?

サービス管理責任者は指定要件上、必ず配置が必要な職種です(利用者60名以下で1名以上)。配置できなければ指定を受けられず、開業後に欠如すると減算の対象にもなります。地域によっては採用が難しいため、物件選定と並行して早めに採用活動を始めることをおすすめします。資格要件(実務経験+研修修了)を満たす人材かどうかの確認も重要です。

2026年に開業すると報酬が減らされると聞きました。本当ですか? 

2026年6月1日以降に新規指定を受ける事業所は、当面のあいだ基本報酬が約1.6%(所定単位数の984/1000)引き下げられます。ただし重度の障がいがある方への支援体制を整えている場合や、サービスが不足している地域での開所などは対象外です。詳しくは本ページの「2026年6月臨時報酬改定」セクションをご覧ください。収支計画は引き下げ後の単価を前提に立てておくと安心です。

どんな物件でも事業所にできますか? 

いいえ。訓練・作業室や相談室などの設備基準を満たす広さ・間取りに加え、消防法や建築基準法への適合が必要です。広さの目安は自治体により異なりますが、訓練・作業室で利用者1名あたり概ね3㎡程度を求める指定権者が多くあります。契約前に図面の段階で指定権者と消防に確認することが、契約後のトラブルを防ぐうえで重要です。

開業までどのくらいの期間がかかりますか? 

事前相談から指定までは、書類準備や現地確認を含めて数か月程度を見込むのが一般的です。指定日は原則毎月1日で、申請書類の提出には締切(多くは指定希望月の前々月)があります。物件・人員・設備が揃ってから慌てないよう、余裕を持ったスケジュールで準備を進めることをおすすめします。遅くても6ヶ月前には事前相談は終えていただいです。

個人でも開業できますか? 

就労継続支援B型は法人であることが指定要件のため、個人事業主では開業できません。株式会社・合同会社・一般社団法人・社会福祉法人などの法人格が必要で、定款の事業目的に「障害者総合支援法に基づく障害福祉サービス事業」等の記載が求められます。

◆参考

自治体・公的資料(設備・人員基準の具体例):

まとめ

就労継続支援B型事業所は、障がいのある方が地域で働くための重要な拠り所です。事業所は、利用者の能力を最大限に引き出し、社会参加や自立を支援する役割を担っています。開業は容易ではありませんが、綿密な計画と準備をすれば、地域社会に貢献できる意義のある事業となるでしょう。この記事が、就労継続支援B型事業所の理解と、開業への第一歩となることを願っています。

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