就労継続支援B型事業所の開業を世田谷区で検討中の方へ。東京都への指定申請の流れ、人員配置(サビ管・職業指導員・生活支援員)、設備基準、開業資金、平均工賃の重要性まで、行政書士が分かりやすく解説。初回相談無料。

就労継続支援B型とは?

就労継続支援B型とは、障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスのひとつで、一般企業への就労が困難な障害のある方に対し、生産活動や就労訓練の機会を提供するサービスです。「雇用契約を結ばない働く場」であり、利用者は事業所で軽作業や生産活動に取り組み、その対価として「工賃」を受け取ります。

対象となるのは、障害や難病のある方で、年齢や体力面で一般就労や就労継続支援A型(雇用型)が難しい方、過去に就労経験はあるが現在は離職している方、特別支援学校卒業後に就労継続支援B型のアセスメントを受けた方などです。18歳以上が対象で、原則として年齢上限はなく、長期にわたって利用できることが特徴です。

具体的な作業内容は事業所ごとに多様で、軽作業(袋詰め・シール貼り・組み立て)、清掃、農作業、パンや焼き菓子の製造販売、カフェ運営、手工芸品の制作、内職、清掃、PCを使ったデータ入力など、地域や利用者の特性に応じて幅広く展開されています。

近年は、「平均工賃月額」が事業所の基本報酬を決定する重要指標となっており、単に「居場所」を提供するだけでなく、利用者の工賃向上にどれだけ取り組んでいるかが事業の質として評価されるようになっています。厚生労働省の統計によると、全国の就労継続支援B型の平均工賃は月額2万4,000円台(令和6年)で推移していますが、地域や事業所によって大きな差があります。

世田谷区を含む東京都内では、就労継続支援B型事業所は年々増加傾向にあり、地域に根ざした多様な働き方の場として、障害のある方の自立と社会参加を支える重要な役割を担っています。


開業に必要な5つの要件

就労継続支援B型事業所の開業には、障害者総合支援法および各省令等に定められた要件を満たし、東京都から指定事業者としての指定を受ける必要があります。

① 法人格の取得

指定を受けられるのは法人のみで、個人事業主では指定を受けられません。株式会社、合同会社、一般社団法人、NPO法人、社会福祉法人などが選択肢となります。

合同会社(設立費用約6万円)はコストを抑えやすく、株式会社(約20〜25万円)は社会的信用度で優位、NPO法人は地域からの信頼を得やすい一方で設立に4〜6ヶ月かかる場合があります。すでに法人をお持ちの場合は、定款の事業目的に「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく障害福祉サービス事業」が明記されているかを必ず確認してください。※法人格によって文言が異なりますので、詳しくは指定権者に確認してください。

② 人員配置基準

就労継続支援B型(定員20名の場合)で必要な職種は以下のとおりです。

職業指導員と生活支援員は合計で「利用者の数を6で除した数以上」(6:1配置)、または7.5:1配置を選択でき、配置基準により基本報酬が変わります。定員20名・6:1の場合、両者合計で常勤換算3名以上が必要です。

最大の難関は「サビ管になるには、相談支援業務5年以上、または直接支援業務8年以上の実務経験が必要です(介護福祉士などの国家資格保有者は3年以上に短縮可)。加えて東京都が実施する基礎研修・実践研修の修了が必須です」有資格者は全国的に不足しています。法人設立と並行して早期に確保活動を始めることが、開業スケジュール遵守の鍵です。

③ 設備基準

事業所には次の設備が必要です。訓練・作業室「東京都の基準では、訓練・作業室は『訓練又は作業に支障がない広さ』と定められており、明確な㎡数の規定はありません。ただし実務上は利用者1人あたり3.0〜3.3㎡程度が目安とされ、定員20名であれば60㎡以上を確保することが望ましいでしょう。

相談室(プライバシーが確保された個室)、洗面所・トイレ多目的室等(事業運営に必要な設備)。加えて、消防法(消防設備・避難経路)、建築基準法(用途変更の要否)、バリアフリー条例などの遵守も必須です。

物件契約前に東京都の「設備基準チェックリスト」で適合性を確認することを強くおすすめします。契約後に基準不適合が判明すると、賃料の損失や事業計画の大幅な見直しにつながります。

④ 運営基準

運営規程、重要事項説明書、各種マニュアル(虐待防止、身体拘束適正化、感染症対策、業務継続計画(BCP)、苦情処理、事故対応など)の整備が必要です。就労継続支援B型特有の項目として「工賃規程」「生産活動収支」の管理体制も整える必要があります。これらは指定申請時に提出を求められるほか、開業後の実地指導でも確認されます。

⑤ 資金要件

開業時には、物件取得費、内装工事費、生産活動に必要な設備・備品費(作業機械・原材料等)、人件費(開業後3〜6ヶ月分の運転資金)として、おおむね1,000万円〜2,000万円程度の資金が必要とされます。※規模や地域によって異なります。

特に就労継続支援B型の場合、開業後の最初の給付費(国保連からの入金)は約2ヶ月後となるため、運転資金の厚みが事業継続の生命線です。自己資金だけでまかなえない場合は、日本政策金融公庫の創業融資が有力な選択肢となります(当事務所でも創業融資のサポートを行っております)。


世田谷区で開業する場合の流れとスケジュール

就労継続支援B型は東京都が指定権者となるため、世田谷区役所ではなく東京都に対して指定申請を行います。これは放課後等デイサービス(世田谷区が指定権者)とは異なる重要な点です。

スケジュール表

時期実施事項
指定希望月の6ヶ月前まで東京都の指定協議説明会に管理者が参加
指定希望月の4ヶ月前まで事前調査票・事業計画書を東京都福祉保健財団へ提出
指定希望月の前々月末日指定申請書類一式の提出
指定希望月の前月現地確認
指定希望月の1日新規指定(事業開始可能)

なお、世田谷区内で開業する場合、指定権者は東京都ですが、世田谷区とも事前に連携が必要なケースがあります(地域の障害福祉計画との整合性、補助金申請、地域の障害者支援ネットワークとの連携など)。世田谷区にも事前にご相談されることをおすすめします


開業資金はいくら必要?

就労継続支援B型の開業資金の目安は1,000万円〜2,000万円程度です。内訳は次のとおりです。※地域や規模によって異なりますので、あくまで参考に。

物件取得費(200〜400万円):敷金・礼金・仲介手数料・前家賃。世田谷区は賃料水準が高めなので、立地によっては大きく変動します。

内装工事費(300〜600万円):訓練作業室・相談室・トイレ等の整備。バリアフリー対応や消防設備の追加も含みます。

設備・備品費(100〜300万円):生産活動に必要な作業機械・工具・原材料、PC、机・椅子、送迎車両(必要に応じて)。

人件費(開業後3〜6ヶ月分の運転資金、400〜700万円):管理者・サビ管・職業指導員・生活支援員の給与。

特に重要なのが運転資金です。就労継続支援B型の事業収入の中心である「訓練等給付費」は、サービス提供月の2ヶ月後に国保連から入金されます。つまり開業から最初の入金まで約2ヶ月のタイムラグがあり、その間の人件費・家賃・光熱費はすべて自己資金または融資でまかなう必要があります。利用者が定員に達するまでには通常半年〜1年程度かかるため、最低でも6ヶ月分の運転資金確保が事業継続の生命線です。

自己資金だけで足りない場合は、日本政策金融公庫の創業融資が有力な選択肢です。福祉事業は社会性が高く評価されやすく、事業計画書の作り込み次第で1,000万円〜2,000万円規模の融資も現実的に検討できます。当事務所では創業融資のサポートも行っておりますので、お気軽にご相談ください。


「選ばれる事業所」とは

ここまで開業の要件や手続きについてお伝えしてきましたが、「利用者・家族から選ばれる事業所」とはどのような事業所かをまとめてみました。

就労継続支援B型は、利用者が長期間(場合によっては数十年)通い続ける場所になります。だからこそ、保護者は事業所選びに極めて慎重です。

利用者家族が事業所選びで重視するポイントを4つお伝えします。

1つ目は工賃の水準と生産活動の中身です。「働くこと」に意義を感じてもらうためには、適正な工賃が支払われ、社会とのつながりを実感できる仕事内容であることが大切です。単純作業の繰り返しではなく、利用者の特性や希望に応じた多様な作業を用意できるかが問われます。

2つ目はスタッフの定着率と人間性です。福祉現場は離職率が高い業界ですが、長く通う場所だからこそ、信頼できるスタッフの安定的な存在が利用者の安心につながります。開業時から働きやすい職場環境を整えることが、結果的に「選ばれる事業所」への近道です。

3つ目は利用者の尊厳が守られているかです。「支援される側」として一方的に扱われるのではなく、一人の大人として尊重され、意見を聞いてもらえる雰囲気があるか——これは見学や体験利用で必ずチェックされるポイントです。

4つ目は保護者・家族との連携です。連絡の丁寧さ、定期的な面談、生活面の変化への気づきの共有など、日々の積み重ねが信頼を育てます。

開業準備の段階からこれらの視点を持つことが、「指定を取ること」ではなく「地域に長く愛される事業所をつくること」につながると、利用者家族の一人として強く感じています。


よくあるご質問(FAQ)

サービス管理責任者(サビ管)が見つからないのですが、どうすればよいですか?

サビ管の確保は開業準備で最も多い悩みです。福祉系の人材紹介会社の活用、業界知人ネットワークからの紹介、すでに福祉業界で働く方への声かけが主な方法です。要件を満たす職員を採用し、研修受講をサポートして育成する選択肢もあります。法人設立と同時並行で早期に動くことが重要です

物件はどんな場所を選べばよいですか?マンションの一室でも可能ですか?

設備基準と関係法令(消防法・建築基準法・用途地域)を満たせば可能ですが、就労継続支援B型は訓練・作業室の広さ要件があるため、マンションの一室では実質的に難しいケースが多いです。1階の店舗物件、戸建て、小規模ビルなどが選ばれやすい傾向にあります。

生産活動の内容はどう決めればよいですか?

地域ニーズ、利用者層、スタッフのスキル、初期投資額の4つの視点で決めることをおすすめします。世田谷区のような住宅地では、カフェ運営や焼き菓子製造、農作業(区民農園との連携)、清掃業務などが地域に受け入れられやすい傾向にあります。

平均工賃月額はどのくらいを目指すべきですか?

まず最低ラインとして月額1万5千円の確保が事実上の必須ラインです。これを下回ると基本報酬区分が最も低くなり、また工賃向上計画上も「改善が必要な事業所」と位置づけられます。

次に標準ラインは全国平均の月額2万4千円台です。令和6年度実績で24,141円ですから、令和8年度はおそらく2万5千円前後まで上昇すると見込まれます。少なくともこの水準を超えることが「平均的なB型事業所」としての一つの目安になります。

なお、具体的な目標額は都道府県ごとに異なるため、所在地の都道府県が公表する「工賃向上計画(令和6〜8年度)」等をご確認いただくことをおすすめします。

行政書士に依頼すると費用はどのくらいかかりますか?

事務所により異なりますが、就労継続支援B型の指定申請サポートの相場は30万円〜80万円程度です。法人設立・事業計画書作成・創業融資サポートを含むかで変動します。当事務所では初回相談無料で、お見積もりをご提示しております。


まとめ

就労継続支援B型事業所の開業は、法人設立から指定取得まで最短でも半年、現実的には1年程度を見込んだ計画が必要です。本記事の要点をおさらいしますと、世田谷区内で就労継続支援B型を開業する場合、指定権者は東京都であり、①法人格の取得、②人員配置基準(特にサビ管の確保)、③設備基準、④運営基準、⑤資金要件の5つを満たす必要があります。東京都の指定協議説明会への参加から始まり、事前調査票の提出、指定相談、申請書提出、現地確認を経て、指定希望月の1日付で開業となります。

そして開業後に成功するかどうかは、「指定を取ること」がゴールではなく、「利用者・家族から選ばれ続ける事業所」をつくれるかにかかっています。工賃水準、生産活動の質、スタッフの定着、利用者の尊厳の尊重、家族との連携——これらは開業準備の段階から意識して設計しておくべき要素です。

Gura法務事務所では、利用者家族としての視点も活かしながら、法人設立から指定申請、開業後の運営サポート、創業融資のご相談まで一貫してお手伝いしております。世田谷区を中心に、東京都内・近隣地域での開業を全面的にサポート可能です。

「何から始めればいいか分からない」「物件は決めたが要件を満たしているか不安」「サビ管が見つからない」——どんな段階のご相談でも構いません。初回相談は無料ですので、まずはお気軽にお問い合わせください。同じ志を持つ仲間として、障害のある方が安心して働ける場所づくりを、一緒に進めていきましょう。

【重要】障害福祉サービスは3年に1度の報酬改定があり、令和6年度(2024年4月)には大規模な改定が行われました。さらに令和8年度(2026年6月)にも基本報酬区分の見直しが予定されています。本記事の情報は2026年5月時点のものですので、開業をご検討の際は必ず最新の厚生労働省・東京都の公式情報をご確認ください。

引用(2026年5月時点):東京都障害者サービス情報「指定申請の手引き・変更届の手引き」

https://www.shougaifukushi.metro.tokyo.lg.jp/Lib/LibDspList.php?catid=002-014

東京都障害者サービス情報「就労移行支援・就労継続支援の指定申請について(PDF)」

https://www.shougaifukushi.metro.tokyo.lg.jp/Lib/Download.php?sqid=2202

公益財団法人 東京都福祉保健財団「障害福祉サービス等事業者指定申請受付等事業」

世田谷区「障害福祉サービス等事業者の方向け情報」

https://www.city.setagaya.lg.jp/fukushikenkou/shougaifukushi/category/11786.html

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