児童発達支援・放課後等デイサービス個別支援計画

個別支援計画とは|作成の流れ・書き方・令和6年改定を行政書士が解説

個別支援計画は、障害福祉サービス・障害児通所支援の質を支える根幹であり、適切に作成・運用されていないと、サービスの質の低下だけでなく、運営指導での指摘や減算にもつながります。このページでは、個別支援計画の目的と対象サービス、作成の一連の流れ、モニタリングの頻度、未作成減算の仕組み、そして令和6年度報酬改定で変わった児童発達支援・放課後等デイサービスの取扱いまで、障害福祉に詳しい行政書士がわかりやすく解説します。

個別支援計画とは(目的・対象サービス・サビ管/児発管の役割)

個別支援計画とは、利用者一人ひとりの状況や希望を踏まえ、どのような目標に向けてどのような支援を提供するのかを定めた、サービス提供の設計図にあたる書類です。利用者本人や家族の意向、心身の状況、生活環境などをアセスメントしたうえで、達成すべき目標と具体的な支援内容、提供時間、留意点などを記載します。

対象となるのは、生活介護・就労移行支援・就労継続支援A型/B型・自立訓練・共同生活援助(グループホーム)といった障害者(成人)向けサービスと、児童発達支援・放課後等デイサービスといった障害児通所支援です。サービスの種別を問わず、個別支援計画の作成は運営基準上の義務であり、計画に基づかない支援は認められません。

作成と運用を担うのが、障害者向けサービスではサービス管理責任者(サビ管)、障害児向けサービスでは児童発達支援管理責任者(児発管)です。これらの責任者は、アセスメントから原案作成、個別支援会議の運営、利用者・家族への説明と交付、実施状況の把握(モニタリング)まで、計画に関する一連の業務を統括する立場にあります。

個別支援計画の作成プロセス(一連の業務フロー)

個別支援計画は、単に書類を作れば足りるものではなく、定められた手順を順番どおりに踏むことが求められます。手順や日付の前後が逆転していると、運営指導で「未作成」と同様の指摘を受けることがあるため、プロセス全体を正しく理解しておくことが重要です。

①アセスメント/②原案作成/③個別支援会議/④原案修正/⑤説明・同意/⑥交付/⑦モニタリング

①アセスメント 利用者本人・家族との面談を通じて、心身の状況、生活環境、本人や家族の希望・ニーズを把握します。ここが計画全体の土台になります。

②個別支援計画の原案作成 アセスメントの結果をもとに、サビ管・児発管が目標と具体的な支援内容、提供時間などを盛り込んだ原案を作成します。

③個別支援会議(担当者会議) 原案について、支援に関わる担当者が集まり、内容の妥当性や役割分担を検討します。専門的な視点から意見を出し合う場です。

④会議を踏まえた原案の修正 会議で出た意見を反映し、原案を修正して正式な計画案に仕上げます。

⑤利用者・家族への説明と同意 完成した計画を利用者本人・家族にわかりやすく説明し、書面で同意を得ます。ここで保護者・本人の署名が必要です。

⑥交付 同意を得た個別支援計画を利用者本人(児童の場合は保護者)に交付します。交付してはじめて計画が有効になります。

⑦サービス提供・モニタリング 計画に基づいて支援を提供し、定期的に実施状況を把握・評価して、必要に応じて計画を見直します。

注意したいのは、これらの手順の日付の順序です。「同意日が個別支援会議より前になっている」「交付日の記載がない」といった日付の矛盾は、運営指導で頻繁に指摘されるポイントです。アセスメント→原案→会議→修正→説明・同意→交付の流れで、日付が自然に並んでいることを必ず確認しましょう

モニタリングの頻度とポイント(6か月に1回以上)

個別支援計画は作成して終わりではなく、定期的な見直し(モニタリング)が義務づけられています。サービス管理責任者・児童発達支援管理責任者は、計画の有効期間内に少なくとも6か月に1回以上、面談形式で実施状況を把握し、目標の達成度を評価したうえで、計画を変更する必要がないかを検討します。

ただし、新規利用開始から一定期間など、サービスの種別や状況によってはより短い頻度でのモニタリングが求められる場合があり、市町村がモニタリング期間を変更することもあります。自治体ごとの取扱いを確認しておくと安心です。

モニタリングでは、面談で把握した事実を記録し、それに対する評価、計画を継続するか変更するかの判断、次回に向けた方針を残すことが大切です。記録が「事実→評価→判断→次回方針」の流れで整理されていると、運営指導でも説明しやすくなります。なお、計画時間と実利用時間の乖離が続いている場合や、急な延長支援が続く場合などは、6か月を待たずに速やかに計画を見直す必要があります。

個別支援計画未作成減算とは(30%・50%/運営指導での指摘例)

個別支援計画未作成減算とは、個別支援計画が作成されていない場合や、アセスメント・個別支援会議・説明同意・交付・モニタリングといった一連の手続のいずれかが適切に行われていない場合に適用される減算です。書類が存在していても、手続の一部が欠けていれば「未作成」とみなされる点に注意が必要です。

令和6年度報酬改定後の減算率は、減算に該当する事実が生じた月の翌月を起算月として、1〜2か月目は所定単位数の30%減算、3か月目以降は50%減算となります。サービス管理責任者・児童発達支援管理責任者が不在で計画を作成できない状態が続いた場合も、同様に減算率が変動します。減算は原則として利用者全員に及び、改善が認められた月まで継続します。長期間にわたると経営に与える影響は非常に大きくなります。

運営指導(実地指導)でよく指摘されるのは「同意日が個別支援会議より前になっている」「交付日の記載がない、または交付の記録が残っていない」「モニタリングが6か月を超えている」「アセスメントの記録が不十分」といった、手続や記録の不備です。減算を避けるには、形式を整えるだけでなく、プロセスの順序と日付、記録を正しく残す運用体制を整えることが欠かせません。

令和6年からの個別支援計画の書式が公開

令和6年3月15日付の事務連絡にて、児童発達支援及び放課後等デイサービスの個別支援計画の様式例等が公開されました。

かなり、シンプルになりましたが、少々ざっくりとし印象もあるのは気のせいでしょうか。。。

基本報酬における時間区分の創設について

厚生労働省の通達の内容を引用しながら、項目ごとに確認してみたいと思います。

下記のような時間区分となっていますが、1時間30分ちょうどの場合は、時間区分2ではなく時間区分1になることに注意しましょう。

「以下」や「超」といった表記に気を付けて算定する必要があります。実地指導の時に指摘される可能性があります。

個別支援計画に支援に要する時間を定め、その計画の時間に応じて基本報酬を算定することが基本となります。

では、計画よりも支援時間(実利用時間)が短くなってしまった場合はどうなるのか?

気になるところですが、「利用者の都合」なのか「事業者の都合」なのかで算定が異なります。

利用者都合:計画時間で算定

事業者都合:支援時間(実利用時間)で算定

となります。

実利用時間については、サービス提供実績記録票にて記録が必要となり、計画時間と実利用時間の乖離が継続してる場合は、速やかに個別支援計画を見直しを行う必要があります。

以下、参考:放課後等デイサービスのサービス提供実績記録票 記入例

※原則30分未満の支援は除外されていますが、例外として周囲の環境になれるために支援時間を短縮した等の理由があれば、市町村の判断で算定も可能です。

延長支援加算の見直しについて

基本報酬における時間区分の創設とあわせて、延長支援加算を見直し、5時間(放課後等デイサービスについては、平日は3時間)を超える長時間の支援について、預かりニーズに対応した延長支援として加算されます。(重症心身障害児を通わせる事業所において重症心身障害児に対し指定児童発達支援又は放課後等デイサービスを行う場合等は従前の延長支援加算と同様の取扱い)

【改定後の延長支援加算の取扱い】
・ 基本報酬において、上限となる5時間(放課後等デイサービスについては、平日は3時間)の発達支援を行うのに加え、当該支援の前後に預かりニーズに対応した延長支援を計画的に行った場合に、計画した時間に応じて算定できるものとするが、計画時間よりも、実際に延長支援に要した時間が短くなった場合においては、基本報酬とは異なり、その理由の如何に関わらず、実利用時間により算定する
・ 延長支援の算定に当たっては、1時間以上の延長支援を行うことを前提とした体制を設ける等、計画的な実施が求められる
計画時間の前後に延長支援加算を算定する場合には、前後いずれも1時間以上となるよう計画的に実施する必要があり、前後の時間を合算して1時間以上では算定できないものであること。(30分+30分で1時間はNGということになります。)
・ 延長支援時間帯の職員配置については、安全確保の観点から、2人以上(うち1人以上は運営基準に定める人員を配置すること。児童発達支援管理責任者でも可。)の配置
延長 30 分以上1時間未満の単位は、利用者の都合により延長支援時間が計画よりも短くなった場合に限り算定できる。
・ 延長支援時間については、個別支援計画に定めることを基本とするが、延長支援を利用する中で、具体的な利用の計画にない、緊急的に生じた預かりニーズに対応するための延長支援については、急遽延長支援を必要とした理由等について記録を残すことにより算定できるものとする。ただし、急遽延長支援を行うような状況が続く場合については、速やかに個別支援計画の見直し・変更を求めるものとする

総合的な支援の推進とインクルージョンの推進

運営基準において、児童発達支援ガイドライン等に基づく5領域の視点を全て含めた総合的な支援を提供することを基本としたところであり、支援内容について、個別支援計画等においても5領域とのつながりを明確化した上で支援の提供が必要となる。
また、運営基準において、事業所に対し、保育所等との併行通園や保育所等への移行等、インクルージョン推進の取組を求めることとしたところであり、個別支援計画において、具体的な取組等について記載し実施する。

令和6年4月以降の個別支援計画について

新たな記載事項と参考様式について

令和6年4月以降は、上記の改定事項を踏まえ、個別支援計画に、新たに以下の事項を記載することが求められる。
・時間区分の導入に伴う、個々の障害児の日々の支援に係る計画時間等
・延長支援加算の見直しに伴う、個々の障害児の日々の延長支援時間等
・個々の障害児の5領域との関連性を明確にした支援内容及びインクルージョンの観点を踏まえた取組等
令和6年4月以降の個別支援計画については、これらを盛り込んだ「個別支援計画参考様式」を活用し、作成・見直しが必要。

なお、記載にあたっての留意点及び記載例や、改定版の児童発達支援及び放課後等デイサービスガイドラインなどは別途示されるとのことです。

よく見ると押印が廃止となってますが、保護者の署名(自筆)は必要ですので注意が必要です。

令和6年4月から 10 月までの取扱いについて(経過措置)

個別支援計画の見直し等については、通常の見直し期間(6ヶ月に1回以上)を踏まえると、一定の期間を要すると考えられることから、令和6年 10 月 31 日までの間は、別紙「個別支援計画参考様式」の2枚目の「個別支援計画別表」を活用し、個々の障害児の計画時間及び延長支援に要する時間等を定め、現行の個別支援計画とあわせることにより対応すること(支援内容の5領域との関連性の明確化及びインクルージョンの観点からの記載は個別支援計画の見直しのタイミングで行うこととし、基本報酬と延長支援加算の算定に必要な計画時間・延長支援時間等の記載のみを別表で追加すること)を可能とする(下記、別紙2参照)。計画時間については、あらかじめ保護者に説明の上、同意を得ること。また、延長支援については、あらかじめ保護者に説明の上必要性について確認するとともに、延長支援時間について同意を得ること

【経過措置の対象について】※令和6年5月以降から利用する児童とで運用が異なるので注意です。

この経過措置の対象となる障害児は、令和6年4月 30 日までに当該事業所の利用を開始している児童。

令和6年5月以降に新規で利用する児童については、「新たな記載事項と参考様式について」の全ての記載事項を踏まえた個別支援計画の作成が必要


なお、経過措置により対応を行う事業所において、当該経過措置の期限は 10 月 31 日までとしているが、当該期限までに見直しのタイミングが訪れる個別支援計画については、順次、「新たな記載事項と参考様式について」の全ての記載事項を踏まえた個別支援計画に見直していくまた、経過措置により対応を行う場合であっても、支援内容について総合的な支援を基本とすること及びインクルージョンの観点も踏まえる

⇩(別紙2)個別支援計画別表

出典:令 和 6 年 3 月 1 5 日事務連絡 こども家庭庁支援局障害児支援課
令和6年度障害福祉サービス等報酬改定に伴う児童発達支援及び放課後等デイサービスにおける個別支援計画の取扱いの変更について

⇩秋田県HP「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定について」より

よくあるご質問(FAQ)

個別支援計画は誰が作成するのですか? 

障害者向けサービスではサービス管理責任者(サビ管)、障害児向けサービスでは児童発達支援管理責任者(児発管)が作成と運用を担当します。アセスメントから原案作成、個別支援会議、説明・同意、交付、モニタリングまでの一連の業務を統括します。

個別支援計画のモニタリングはどのくらいの頻度で必要ですか?

原則として、計画の有効期間内に少なくとも6か月に1回以上、面談形式で実施します。ただし新規利用開始時など状況により短い頻度が求められる場合があり、市町村がモニタリング期間を変更することもあります。

個別支援計画未作成減算とは何ですか?減算率はどのくらいですか?

計画が未作成の場合や、アセスメント・会議・同意・交付などの手続が適切でない場合に適用される減算です。減算該当月の翌月を起算月として、1〜2か月目は30%減算、3か月目以降は50%減算となり、原則として利用者全員に及びます。

書類はあるのに運営指導で「未作成」と指摘されることはありますか?

あります。同意日が会議日より前になっている、交付の記録がない、モニタリングが6か月を超えているなど、手続や日付に不備があると、書類が存在していても「未作成」と同様に扱われることがあります。

令和6年度の報酬改定で個別支援計画の様式は変わりましたか?

児童発達支援・放課後等デイサービスでは、時間区分の導入に伴う計画時間や延長支援時間、5領域との関連性、インクルージョンの取組などの記載が新たに求められ、参考様式も示されました。押印は廃止されましたが、保護者の自筆署名は引き続き必要です。

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個別支援計画は、障害福祉サービス・障害児通所支援の質を支える土台であると同時に、運営指導や減算のリスクが集中しやすいポイントでもあります。「手続の順序や日付に不安がある」「令和6年度改定に様式が対応できているか確認したい」「運営指導を控えていて心配」といったお悩みは、早めに専門家へご相談いただくことで、減算リスクを未然に防げます。

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