就労移行支援体制加算とは|要件・単位数・計算方法を行政書士が解説【令和8年度改定対応】
就労移行支援体制加算の対象事業所・要件・単位数・計算方法・届出をわかりやすく解説。令和8年度臨時報酬改定で新設された「定着者数の上限」「過去3年間の算定制限」もカバー。障害福祉事業の指定・加算の相談は初回無料。
目次
就労移行支援体制加算とは(概要)
就労移行支援体制加算は、就労継続支援B型などの利用者が一般企業へ就職し、その就労が定着したことを評価する加算です。具体的には、事業所の利用者が企業等に就職し、そのうち1人以上が雇用継続6か月に達すると、その翌年度の1年間にわたって算定できます。1人あたりの単価は大きくありませんが、原則として通所者全員の利用日数に対して算定されるため、総額では事業所の収益に大きく寄与します。利用者の一般就労を後押しする支援体制づくりを評価する、継続的に取得を狙いたい加算です。

「就労定着者」とは
雇用継続6か月に達した就職者を「就労定着者(6か月定着者)」と呼びます。たとえば10月1日に就職した方は、翌年3月31日に雇用継続6か月に達するため、就労定着者となります。雇用契約を結ぶ就労であれば、労働時間や雇用形態は問われません。ただし、就労継続支援A型で利用者として雇用契約を結ぶケースや、施設外支援の対象となるトライアル雇用は、就労定着者にカウントできない点に注意が必要です。
算定要件
① 前年度に就労定着者が1人以上いること
前年度に就労定着者が1人以上いる事業所が算定対象となります。
② 年間で算定できる就労定着者数の上限(令和8年4月〜)
令和8年(2026年)4月の臨時報酬改定により、年間で算定できる就労定着者数に「その事業所の定員数まで」という上限が新設されました。たとえば定員20人の事業所であれば、年間で算定できる就労定着者は最大20人までです。
③ 過去3年間の算定制限(令和8年4月〜)
同じ利用者について、現在の事業所か他の事業所かを問わず、過去3年間に就労移行支援体制加算の算定対象となった実績がある場合、原則として算定できません。これは事業所単位ではなく、利用者一人ひとりの履歴に基づくルールです。自法人の別事業所や他法人の事業所もすべて「他の事業所」に含まれます。なお、ハラスメント等のやむを得ない事情による退職など、市町村長が適当と認める事情がある場合は例外的に算定が認められることがあります。
単位数(令和8年度改定)
就労移行支援体制加算の単位数は、その事業所が算定している就労継続支援B型サービス費(基本報酬)の区分に応じて、加算Ⅰ〜Ⅳに分かれます。加算Ⅰはサービス費Ⅰ・Ⅱを算定する事業所、加算Ⅱはサービス費Ⅲ、加算Ⅲはサービス費Ⅳ・Ⅴ、加算Ⅳはサービス費Ⅵに対応します。加算Ⅰ・Ⅱはさらに平均工賃月額に応じて単位数が細かく分かれており、たとえば定員20人以下・加算Ⅰの事業所では、平均工賃月額が最も高い区分で93単位、最も低い区分で48単位といった幅があります(事業所が令和6年度以降に報酬区分が上がったかどうかで工賃の刻みが異なります)。加算Ⅲは一律42単位、加算Ⅳは一律39単位です。
正確な単位数は事業所のサービス費区分と平均工賃月額により決まるため、最新の報酬告示と指定権者の資料でご確認ください。
具体的な計算方法
この加算は「所定単位数 × 前年度の就労定着者数」で1日あたりの加算単位を求め、それを各利用者の利用回数(延べ利用回数)に乗じて算定します。
モデルケースを挙げます。
定員20人、加算Ⅰの該当区分で所定単位数が58単位、前年度の就労定着者が2名、地域単価10.0円の事業所を想定します。
1日・1利用あたりの加算単位は、58単位 × 2名 = 116単位です。
これを利用者全員の延べ利用回数に乗じます。仮に20名が月20日通所し、延べ利用回数が400回であれば、116単位 × 400回 = 46,400単位、これに地域単価10.0円を乗じて約46.4万円が月の加算見込みとなります
地域単価は地域区分により10.0円〜11.40円程度で異なるため、実際の金額はお住まいの自治体の地域区分でご確認ください。
算定の手続き
算定には指定権者への事前の届出が必要です。前年度の実績を用いる加算のため、4月分から算定するには指定権者の定める期限までに届け出る必要があります。年度途中から算定する場合は、原則15日までに届出がとなります。前年度実績を用いる加算の扱いは指定権者ごとに異なるため、必ず管轄自治体の案内を確認してください。
算定時の注意点
就職した利用者名簿(氏名・就職日・6か月到達日・就職先企業名等)、6か月雇用を証明する書類(雇用継続証明書、給与明細の写し等)、そして過去3年間の算定実績がわかる資料を準備します。利用者が他の事業所から移ってきた場合は、前の事業所や市町村へ算定実績の有無を照会しておくと安心です。要件を満たさない加算を誤って算定してしまった場合は、放置せず速やかに「過誤」の手続きを行ってください。放置すると運営指導での指摘や、悪質と判断された場合の返還・加算金につながるおそれがあります。
よくある質問(FAQ)
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就労定着者は何人までカウントできますか。
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令和8年4月以降、年間で算定できる就労定着者数は事業所の定員数が上限です(定員20人なら最大20人)。
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過去に就職支援した人も毎年カウントできますか。
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いいえ。過去3年間に就労移行支援体制加算の算定対象となった利用者は、他事業所での実績を含め、原則としてカウントできません。
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トライアル雇用やA型利用者はカウントできますか?
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施設外支援の対象となるトライアル雇用や、A型で利用者として雇用契約を結ぶケースはカウントできません。
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転職した利用者はどう扱いますか?
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職後6か月以内に労働条件改善のための転職支援を行い、離職後1か月以内に再就職した場合、1回の転職に限り、最初の就職日から起算して6か月に達した時点でカウントできます。
まとめ
就労移行支援体制加算は、利用者の一般就労とその定着を後押しする支援体制を評価する、就労継続支援B型などにとって重要な加算です。1人あたりの単価は大きくありませんが、通所者全員の利用日数に対して算定されるため、年間を通じて見れば事業所の経営に確かな効果をもたらします。
一方で、令和8年(2026年)4月の臨時報酬改定により、「年間で算定できる就労定着者数は定員数まで」という上限と、「過去3年間に算定対象となった利用者は自他事業所を問わず原則算定不可」という制限が設けられました。従来の取扱いから変わった重要なポイントですので、改定後のルールに沿って正しく算定することが大切です。
加算は、就職日・6か月到達予定日・対象年度・過去3年間の算定実績を利用者ごとに把握・管理することで、取りこぼしや誤算定を防げます。要件の判断や届出のタイミングは指定権者によって解釈が異なる場合もあるため、不安なときは早めに専門家へご相談ください。
指定権者によって解釈等が異なる場合がありますので、算定前に必ず管轄自治体へご確認ください。
参考:
厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定について」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000202214_00009.html )
厚労省「令和6年度報酬改定における主な改定内容」(https://www.mhlw.go.jp/content/001216034.pdf )
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