「障害福祉従事者処遇改善緊急支援事業」について
深刻な人材不足を解消するため、令和7年 12 月 26 日厚生労働省より「障害福祉従事者処遇改善緊急支援事業」の実施要綱が公開されました。
今回の措置は、令和8年度の報酬改定を待たずに行われる「緊急的な支援」です。本記事では、この制度の目的から、補助金の計算方法、そして受給のためにクリアすべき条件までを分かりやすく解説します。

なぜ「今」賃上げが行われるのか?
現在、障害福祉分野では他職種への人材流出が深刻な課題となっています。今回の事業は、令和7年11月に閣議決定された「強い経済」を実現するための総合経済対策に基づいています。
最大のポイントは、「令和8年度の報酬改定よりも前倒しで、緊急的に賃金水準を引き上げる」というスピード感です
補助金はいくらもらえる?(算出方法)
補助金の額は、事業所ごとに以下の計算式で決まります。
補助額 = 令和7年12月の総報酬額 × サービスごとの交付率
総報酬額とは?
基本報酬に加え、各種加算(既存の処遇改善加算など)を含んだ総単位数に単価を乗じた額です。
主な交付率の例
- 施設入所支援・短期入所: 22.2%
- 居宅介護・重度訪問介護: 20.3%
- 共同生活援助(グループホーム): 14.1%
- 就労移行・継続支援(A/B型): 11.4%
- 計画相談支援: 47.0%

※サービス類型によって大きく異なりますので、自所の率を必ず確認しましょう。
受給のための「3つの重要ルール」
この補助金を受け取るためには、以下の原則を守る必要があります。
① 全額を「新規」の賃金改善に充てること
交付された補助金は、1円たりとも残さず職員の給与アップに充てなければなりません。「もともと予定していた定期昇給」にこのお金を充てることは禁止されています。
② 基本給での改善が推奨
手当や賞与(ボーナス)としての支給も可能ですが、国は「安定的な処遇改善」のために、月々の基本給を引き上げることを推奨しています。
③ 職場環境の改善(要件のクリア)
既存の処遇改善加算の区分(下記の図)に応じて、職場環境改善(研修の実施やICT導入など)の取組項目数が求められます。

- 加算Ⅰ・Ⅱの事業所: 「年収460万円以上の職員を1名以上確保」または「14項目以上の取組」
- 加算Ⅲ・Ⅳの事業所: 「8項目以上の取組」
※現時点で達成していなくても、「令和8年度中に実施する」という誓約があれば申請可能です。

事務手続きとスケジュール
1/22現在、申請期限は一部の指定権者のみ発表されております。詳しくは事業所の管轄する指定権者にお問合せください。
なお、事業所は指定権者に対して以下の書類を提出します。
- 計画書: どうやって賃金を上げるか(配分案)を記載。
- 実績報告書: 実際に支払った金額を事後に報告。
根拠資料(就業規則や賃金台帳)は、2年間の保管義務があるため、適切に管理しておきましょう。
申請に向けて
事業所は以下のステップで準備を進めましょう。
- ステップ1: 令和7年12月分の報酬額を試算し、おおよその補助金額を把握する。
- ステップ2: どの職員に、どの名目(基本給・手当等)で配分するかを検討する。
- ステップ3: 都道府県からの公募通知を逃さないようアンテナを張る。
最後に この補助金は、職員の皆さまのモチベーション向上に直結します。制度を正しく理解し、透明性の高い配分を行うことで、より魅力的な職場づくりに繋げていきましょう。

