工賃変動積立金とは?
就労継続支援B型事業においては、利用者に 生産活動に係る事業の収入から、生産活動に係る事業に必要な経費を控除した金額を工賃としてすべて支払わなければなりません。
しかしながら、店舗販売やパンなどの食品販売など行っている事業者さんは、売上が変動しやすく工賃の支払いに苦労されたり、また、生産活動をされている事業者さんは、翌年以降もお仕事を受注できるとはかぎりません。
そんな不安を解消すべく例外として、将来にわたって安定的に工賃を支給するため、または安定的かつ円滑に就労支援事業を継続するため、一定の要件を満たす場合は、 「就労支援事業活動増減差額」から一定の金額を次の 2 種類の積立金として計上することができます。
①工賃変動積立金
将来の一定の賃金・工賃水準を下回った場合に、賃金・工賃を補填することに備える目的で計上する積立金
②設備等整備積立金
生産活動に要する設備等の更新又は新たな業種への展開を行うための、設備等の導入に備える目的で計上する積立金
目的外の積立はできませんのでご注意ください。
工賃変動積立金の要件
- 前提として、当該年度の利用者賃金及び利用者工賃の支払額が、前年度の利用者賃金及び利用者工賃の支払い実績額を下回らない場合に限り計上可。
- 各年度における積立額の限度が過去3年間の平均賃金・工賃の 10%以内
- 積立上限額が過去3年間の平均賃金・工賃の 50%以内
- 理事会等の決議が必要
設備等整備積立金の要件
- 前提として、当該年度の利用者賃金及び利用者工賃の支払額が、前年度の利用者賃金及び利用者工賃の支払い実績額を下回らない場合に限り計上可。
- 各年度における積立額の限度が就労支援事業収入の10%以内
- 積立上限額が就労支援事業資産の取得価額の 75%以内
- 理事会等の決議が必要
取り崩しはどんなときにできるか?
- 理事会等の決議が必要
- 保障すべき一定の工賃水準(天災等により工賃が大幅に減少した年度を除き、過去 3 年間の最低工賃をいう)を下回った年度がある場合。
- 設備等整備積立金等は、生産活動に要する設備等の更新、新たな生産活動への展開を行うための設備等を導入した場合。
※その他の目的のために取り崩して流用することは認められませんが、就労支援事業に伴う自立支援給付費収入の受取時期が 2 ヶ月以上遅れる場合に限り、一時繰替使用はその場合でも、自立支援給付費収入により必ず補填しなければならず、積立金の目的の達成に支障を来たさないようにしなければなりません。
気を付けるポイント!
・ 積立金の計上時期は、就労支援事業活動増減差額が生じた年度の計算書類に反映させます。(計
算書類の承認を決議する理事会等を開催する年度ではありません)
・ 積立金を計上する場合は,同額の積立資産(積立金の使用目的に充てる財源を確保するため、
積み立てられる現預金等をいい、固定資産に区分)を計上しなければなりません。
以上のように正確に計上することと、明確に反映させる必要があります。
ある指定権者も「原則工賃はすべて利用者に還元するのもので、「工賃変動積立金」は売り上げが上がっている事業者が活用する例外的な制度のため、積立するためにあえて上げる必要はありません。」との見解でしたのでご参考までに。
◆詳細については「令和 3 年度 厚生労働省障害者総合福祉推進事業」の下記資料をご参考にしてください。